2019年1月10日木曜日

言葉

面会で病院へ寄ったら出産の時にお世話になった看護士さんに会えたので挨拶をしてきた。

立ち会い出産で陣痛室からへと分娩室へと移動し、ここまでの陣痛もとてつもなく痛いのに段違いとなる分娩の苦痛にも懸命に耐えて頑張る妻、必死に外の世界へと出てこようとする子、慌ただしくもテキパキと動く看護士さん達。
皆が皆頑張っているのにただ立っている事しかできない自分が情けなくて、無力な自分を自嘲するように彼女へと「僕には何ができるんでしょうか。」と尋ねた。

彼女は強い意志のある目でこちらを見つめ、「一緒に居ることです。一緒に居るだけで全然違います。」と凛とした口調で諭すように僕へと話し掛けた。
その言葉を聴いて、ただ立っているだけの自分にも役割はある。何もしていないように見えても居る事に意味がある。と自信を持つ事ができて、最後まで妻へと声をかけながら立ち会い続けられた。
両親学級で学んだ背中をさするとか汗を拭くとか飲み物を飲ませるなんて事は余裕が無くてできなかったけれど、最後まで隣に居る事だけはできた。

あの時見た彼女の目と、あの時聴いた彼女の言葉を一生忘れる事は無いだろう。
この病院の出産で良かった。彼女と会えて良かった。